「なっ…!なんでそうなるんですか!
私の理想の人は律哉先輩とは真逆ですから!」


へえ。結構言ってくれんじゃん。


俺とは真逆なくせに、俺に迫られてドキドキしてんのはどこの誰だよ。



「ふーん。例えばどんな人?」


「えっーと…優しくて笑顔が素敵で紳士的な人で…

とにかく、律哉先輩みたいにイジワルで俺様で二重人格じゃない人が私の理想です!!!」


お前…俺のことけなした上に
完全に俺を全否定しやがったな。


俺も俺で地味にショック受けてんじゃねーよ。
今すぐにその生意気な口を塞いでやりてぇわ。


二度と俺の悪口なんて言えねぇくらい好きさせないと気が済まねーし。



「へえ。仮にそんな奴がいてもお前じゃ無理」



まず、俺が渡さねーし。
お前は俺と付き合う運命なんだよ。


ぜってぇ、惚れさせてやる。
俺の本気をお前に見せてやるよ。



「そんなの分からないじゃないですか!」


「俺にはわかる。
つーか、お前の理想なんて俺には関係ねーよ」


「そっちが聞いてきたくせに!!」


「うるせえ。
五分以内にそれ終わらせなきゃキスする」


「ひぇ…!?」



テキストをゆびさして言うと花蓮ちゃんは『そんなの無理です』とでもいうような顔をしたけど、キスされるのは嫌なのかせっせとシャーペンを動かした。


そんなの理想に過ぎないことを教えてやるから。
現実は理想とは違う。


現に俺は大人っぽい女が好みだったのに今はこんな年下の子どもっぽい花蓮ちゃんに夢中なんだから。