【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「なんもねーよ」


「むっ、なんかいきなり不機嫌ですね。先輩」


「なんで不機嫌なのか、教えて欲しい?」



お前が可愛すぎるんだよ、バーカ。
でも、もう一つ理由がある。



「はい!」


「お前が俺の名前を呼ばねぇから」


「へ?」



そう。俺の名前を呼んだのはあの一回きり。
こっちはずっと待ってんだけど。



「なぁ、名前で呼べよ」



俺だけ名前呼びとかイヤ。
もっと言うなら敬語なんて今すぐにやめて欲しいくらい。



「せ、せんぱ…んんっ」



──ガタン…


椅子から立ち上がり、机の上に手を置いて花蓮ちゃんの後頭部に手を回しぐいっと自分の方へ近づけた。


俺の理性は限界がきていたらしい。
だから、無意識的に花蓮ちゃんの唇に自分の唇を重ねていた。


もう“先輩”なんて言いたきゃねぇんだよ。
そんなのは聞き飽きた。



「せんぱ…い…くるしっ…」



トントンと胸を叩かれる。
酸欠だと花蓮ちゃんが俺に合図を送ってるのだとすぐに気づいた。


無理矢理こんなことするなんて
最低だって分かってるけど止められなかった。


でも、このまま倒れられても困るからそっと唇を離した。