「せ、先輩の鬼!!
やさしーく教えてくださいよ、ね?」
こてん、と首をかしげてまるで子犬のような瞳で俺を見つめてくる花蓮ちゃんは天然タラシだ。
クソ…そんな可愛い顔しても俺は怯まねぇから。
むしろ、その生意気で可愛い顔を苦悩の顔にしてやりてぇわ。
「僕がそんなことすると思ってるの?
そんなことより、ここはbe動詞を前に待ってくるんだよ」
「わっ…!本当だ!すんなり解けた!」
小さな子供のように無邪気に喜ぶ花蓮ちゃんの顔を見ているとこっちまで笑ってしまいそうになる。
なぁ、その笑顔を俺がひとりじめしたい。って言ったらお前はどんな顔をする?
好きだと自覚してしまったから
気持ちが抑えられるかわかんねぇ。
「うん。次はこっち」
俺は花蓮ちゃんに英語の解きやすい方法を教えてやった。
思っていた以上に理解力があって、一つ問題を解くたびに嬉しそうに笑う姿を見ていたら無性に抱きしめたくなった。
耐えろ……耐えるんだ…俺。
こんなところでハメ外したらシャレになんねーよ。
「先輩、どうかしたんですか?」
上目遣いで俺をまっすぐ見つめる花蓮ちゃん。
それはマジで破壊力がハンパねぇよ。
無意識でやるからタチ悪すぎ。
俺がこんなにドキドキして鼓動を高鳴らせていることなんて知りもしねぇで。



