【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「俺は今日の放課後、出張に行くから教えられないんだよ。お前は優秀だから教えるのも上手いだろうし…」



誰がそんなめんどくせぇこと引き受けるかっつーの。


って、本当は言いたいところだけど他の男と二人きりにさせるのは無理だから引き受けるしかねぇな。



「分かりました。
宮園さんとは初めましてじゃないのでよかったです」



俺が愛想よく笑えば、先生の顔はみるみるうちに笑顔になっていく。


単純だな、この先生も。


さあ、花蓮ちゃん、俺の大切な放課後を潰したんだからたっぷり楽しませてもらうからな。



「そうかそうか…!
よかった〜、じゃあこの部分を教えやってほしい。頼んだ」


「分かりました。
教室借りてもいいですか?」


「いいぞいいぞ〜!
やっぱりお前は役に立つな!」



ガハハハと大きな笑い声をあげる先生。


うるせぇし…耳の鼓膜破れそう。



「じゃあ、僕は行きますね。失礼します」


「おう〜」



職員室から出て俺はすぐに自分の口元を抑えた。
あっぶねぇー…俺、口元緩みすぎだろ。


モヤモヤしていた気持ちも今はスッキリしていて、早く放課後にならないかな…なんてまるで恋する乙女みたいな気持ちになっている。


今の俺…キモすぎ。


なのに、花蓮ちゃんと二人きりになれることが嬉しくてたまんねえ。


はぁ、今日は最高の日かもしんねぇな。


まだ緩む頬を抑えながら教室まで戻った。