【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「なっ…そ、そんな顔したって騙されませんからね!」



そんな顔ってどんな顔だよ。
至って普通の顔なんですが。



「騙すも何も僕は隠しているものなんてないよ」


「あ!今、嘘つきましたね!先輩!」



あ、まただ。
コイツはまた俺のことを“先輩”と呼んだ。


“律哉先輩”と言ったのは無理やり言わせたときだけ。
それ以外はずっと“先輩”ばっかり。



「嘘なんかついてないよ」


「おい!律哉!
俺を置いていくなよ!」



俺を追いかけてきた流星は少しだけ息が荒かった。
置いていったつもりねぇけど。


お前が一人で安川…なんちゃらの話ばっかりするから悪いんだろ!



「僕は置いていったつもりはなかったんだ。ごめんね」


「おー!この前の子じゃん!
それと…お友達かな?」



おいおい、俺のことは無視かよ。流星さんよ。
流星は俺のことなんて気にも留めずに花蓮ちゃんとその友達に話しかけている。