「その口、縫ってやろうか?」
「でた!またそうやって怖いこと言う!」
「お前が余計なこと言うからだろ」
流星と会話をしながら歩いているとあっという間に学校付近まで来ていた。
おっと…キャラ変更しねぇとな。
「俺は事実を述べたまでだけど?」
「変な誤解はしないでほしいな。流星」
我ながらON・OFFの切り替えが上手いと思う。
もう一年くらいこのキャラでやってるもんなぁ。
「うわっ、そのキャラやっぱキモいわ」
「その言葉、あとで後悔しても知らないよ?」
キモイなんて俺が一番分かってるっつーの。
でも、仕方ねぇだろ。
これで定着しちまってるんだから。
「ひぃ…!ごめんなさいごめんなさい!」
「澤井先輩!おはようございます!」
一人の女がわざわざ俺の前に立って笑顔で挨拶してきた。
でも、その笑顔は男を落とすことを知っているような笑顔だった。
「おはよう、今日も学校頑張ろうね」
誰なんだよ。
そんな笑顔で俺のことを騙せると思ってんのか?
なんて、心の中では毒を吐くけど名前も知らないその女にニコリと笑う。



