「あっ峻くんやっときた!葵いこっ」


なんで私まで……という間もなく、手を握られた私は流れるように引きずられていく。



「おはよう遥、大坪さん。」

噂のカレは今日も遅刻ぎりぎりでやってきて、肩で息をしながら挨拶をする。

ほとんど関わりのない私にも挨拶をしてくれるカレは、きっと普通にいいひとなんだろう



だから私も、カレのことは別に嫌いではなかった。