馬車が止まり、


「着きましたよ」


と御者が馬車の扉を開ける。


そのおかげで気まずかった雰囲気が和らいだ。


「さて、案内をするよ。カロナ」


と父上が先に降りて僕に手を差し伸べる。


「父上、僕は男だよ?」


と差し伸べられた手を避けながら馬車から飛び降りる。


「そうだったね…」


と父上は差し出したままの手を見つめたあと、握り締めていた。


(ごめんなさい、父上…)


と心の中で謝る。


「さて、まずは…」


と言いかけたところで、


「アダム牧師先生、お帰りなさいませ。…そちらの方は?」


と眼鏡を掛けた牧師様が遮った。


「ただいま、リアム牧師先生。

この子はカロナだよ。

カロナ、ご挨拶を」


とポンっと優しく押されたので一歩前に出る。


「お初にお目にかかります。

何時も父がお世話になっております。

カロナ・ユーインと申します。

以後お見知りおきください。」


とお辞儀をする。


「カロナ・ユーインさんですね。

申し遅れました、

私の名前はリアム・クラークです。

よろしくお願いしますね」


とリアム牧師先生もお辞儀をする。