すると、


(誰が助けて……)


と誰かが助けを求める心の声が聞こえた。


一体、どこから…


僕には人には無い能力がある。


代々受け継がれている能力らしい。


その能力とは…


【助けを求める心の声を聞く】


だ。


この能力があるおかげで国を豊かなままにできる。


しかし、


毎日聞こえたりするため、心を病む人が出る時がある。


(最近は聞こえなくなっていたのだけど…)


と思いながらも辺りを見渡すと、


(あっ、あそこだ!!)


人通りの少ない暗い建物の影に少女が何人もの男達に捕まっていた。


｢父上、待っていていはくださいませんか？｣


と腰に剣を携えながら言うと、


｢えっ、どうしたの?!｣


と辺りを見渡しはじめる父上。


そんな伯父を余所に扉を開け少女の元へ全速力で向かうアリス。


｢……走ってる馬車は危ないよ…。｣


と既にそこにはいないアリスへと呟く伯父。


｢あ、あのう…このまま馬車を走らせてもよろしいのでしょうか？｣


と困った顔をした御者が降りてきた。


｢すまない。
止まれる場所に止めてもらっても良いかな？｣


｢へい、分かりやした｣


と御者は戻って行き馬車は再び走り出した。


｢はぁ、本当に似てるな…。｣


と独り言を呟く伯父だった。