最初はきついことを言う人だと思った。でも、自分を大事にしろと言われるのは初めてのことだった。
何処か他人事だった私に事実と向き合うきっかけをくれた。彼の心の傷の存在に気がついた。


次に会った時は泣いてる所を見られた。そして、笑った。
強がりと言われた。自分ではそんなつもり全くなかったのに。さりげなく、中庭で読書をしないかと誘われた。
壊れてしまいそうな美しい横顔だったのを覚えている。


今日も車椅子の私を押してくれた。かける言葉も行動も、何処を切り取っても優しい人。

そして今日、自分について教えてくれた。彼の心は深く傷ついている。そのことを話す彼を見るのが、辛い。


あまりにも人生の残酷さを突きつけられるようで。
歩けないことを嘆いていた私があまりにもちっぽけになるくらいに。