「足のこと、現実を見られるようになったか?
まだ若いから、たくさん走ったり歩いたりしたかったんじゃないのか?」

「!?」
この時私は怪訝そうな顔をしていたんだろう。

随分分かったようなことを言う。私と同じぐらいの見た目なのに


「僕は毎日、中庭で本を読んでいる。
君のベットには本が沢山置いてあった。もしかすると本が好きなのか?
それなら一緒にどうだ?」

単純に、凄く嬉しかった。
傷ついてるからかもしれないけど優しい言葉が心に沁みた。

「はい。」
あの事故から、私は初めて自然に笑った。


私を見つめる彼の視線が
心なしか暖かくて病院の中なのに
ああ、今は春か
と感じた