ニュースでは沢山酷いこと言われてたけど、百合子には解ります。
きっと、お姉ちゃんは“何か”を見ていたんだ、と。



「………」


百合子はポケットから、一通の古びた封筒を取り出すと、墓の前に腰掛け、中身を出しました。

花柄の便箋に並ぶ丸っこい文字を暫く眺め、やがて声に出して読みはじめました。



―――

私が死んで貴方は後悔したかも知れない。
貴方が私に別れを告げたから、私は死んだのだと思うかも知れない。

違うわよ、違うのよ。

××は鞠子ちゃんと遊ぶ時、とっても楽しそうに笑うわ。
私が死んだ後も、××をよろしくね。

××は貴方の血も引いてるんだから。



貴方が――



――――




「―――が別れを告げる前から、私は死ぬつもりだった。……貴方は私や××じゃなく佐紀さんと鞠子ちゃんを選んだ。その時からずっと、死ぬつもりだった」


読み終わって、百合子は便箋を封筒に戻しました。

お父さんは不倫してたのか、それとも三角関係の末に百合子たちのお母さんを選んだのか、百合子には解りません。

××は小学校に入学するまで、鞠子とよく遊んでいました。しかし、小学校入学してすぐに××はその暗い雰囲気と、ヒョロリと弱そうなことから、イジメにあう様になりました。

鞠子は××を助けることが出来ませんでした。
自分もイジメにあうのが怖かったのです。

だからイジメに加担しました。
自分が××をイジメる側に居れば、イジメられることは無いと思ったからです。鞠子は小学校の六年間、ずっと××をイジメました。


そして10年前のハロウィンの日、学校の帰り道、鞠子は何時もの様に仲間達と××に石を投げてました。
何時も当たらないし、××が走って逃げてしまうから、油断してました。


鞠子の投げた石が、××の頭に直撃したのです。



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