「ふたりも殺したくせに、よくそんな幸せで居られるよな」
は?
私はそんなに殺してないよ。ひとりだけだよ。あんただけだよ、××。
「リコのせいでボクは一人になったんだよ♪ ―――ボクの、母さんだけが、ボクの家族だったんだよ?リコが奪ったんだ!」
「――え…?」
確かに、××は小さい頃に母親を亡くしている。
しかし、彼女は自殺したのだ。
××の目の前で、首吊って
―――
――――――
―――――――――
「××、おかあさんが居なくなったら、コレを、鞠子ちゃんのお父さんに渡してね」
「うんっ」
「皆には見せちゃ駄目よ、鞠子ちゃんのお父さんだけに見せなさい」
「うんっ」
「絶対に、強い子になるのよ」
「うんっ」
「絶対に、ママの真似はしちゃ駄目よ」
「うんっ」
「じゃあね、××」
彼女は椅子を蹴飛ばした。
―――――――――
――――――
―――
「リコのせいだ、リコが悪い――、リコが悪い!」
「………」
「ずっと憎かった!ずっと殺したかった! のうのうと幸せそうな顔しやがって! お前にボクの気持が解るか?――――あの手紙をお前の親父の部屋で見付けて、ボクがどんなに悲しかったか!お前が憎かったか!」
「………」
こいつは何を言って居るのか。全く意味が解らない。
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