「…………っ!?」


振り返ると、そこには


「百合、子……?」

「どうしたの? ―――もしかして、迎えに来てくれたの?」

「え?――ああ、うん」


そこには百合子が立っていて。
私が見慣れた赤いランドセルと、見慣れた笑顔を見せている。

なんで?



あそこに立っている百合子は何だ。


こちらに立っている百合子は何だ。



どっちが本物なんだ








「……お姉ちゃん?」

「……リコ?」


私の正面と背後にいる百合子が、同時に呼び掛けた。



「どうしたんだよリコ、ただ百合子が現れただけだろ?」


「お姉ちゃん?どうしたの? ――――大丈夫?」


「リコ、百合子はどっちが好き?どっちの百合子が好き?―――――――――ねぇ、どっち?」


「ねぇ帰ろうよ、何かお姉ちゃんおかしいよ、帰ろう、ねぇ」


「どっち?」


「帰ろう」


「リコ」


「お姉ちゃん」





「…………っ、やだ……来ないでよ……!」

「お姉ちゃん?」


私は、赤いランドセルをからった百合子をかばいながら、目の前の××を睨みつけた。

こいつは××だ。
百合子の姿をした××だ。


私が殺した××だ。



「何だよ、昔は仲良く遊んだじゃないか。ボクもリコも幸せだった」

「……昔の話でしょ………っ」

「そうだね、そうだね、そうだね」


××は笑いながら一歩一歩、私達に歩み寄った。
私は百合子を後ろに隠しながら、一定の距離を保とうと後ろに下がった。


「リコはさ、」




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