【完】DROP(ドロップ)



今朝の事を説明し終わると、菜摘は少し呆れた顔で



「名前は? 学校は? 何も聞いてないとか……ないよね?」

「あはは……」



笑ったあたしを見て、わざとらしく大きな溜息を1つついた。



「何してんのよ! 珍しく“恋”なんて言い出したと思ったのに」

「えへへ」

「えへへ、じゃないからっ!」



“恋”って言葉で今朝の学ラン君の顔を思い出したあたしに、菜摘からのデコピンが飛ぶ。



「いったぁい」



涙目のあたしに

『顔に見惚れて、そのままお礼だけ言って戻ってくるなんて有り得ないからっ』

と何故か怒る。



そんな事、言われたって……。

一目惚れなんて初めてだし。


それに、それに。


ぶつかっておいて、イキナリ聞ける?

聞けるわけないじゃん。