暫く泣き続ける雫には、申し訳ないけど、



「雫、どいてくれないかな?」



耳元で囁いた声に



「えっ?」



と、驚きながらも、顔を上げて辺りを見回した。



雫は、俺の上に跨がったまま泣いている。

ここは駅のホーム。

行き行く人からの注目の的ってやつ。



「きゃあぁぁ」



叫んだ雫は、慌てて俺の上からおりて真っ赤な顔して下を向く。


叫ばれるとさ、何か……俺が悪い事したみたいに見えない?


そう思った俺に、



「圭矢、ごめんね」



そんな風に上目使いで見上げる雫に、俺は思わずドキッとしてしまったんだ。