それなのに、

大きな瞳いっぱいに涙を溜めて、頬をピンクに染めて、


「本当に……好き」



そんな言葉を言ってくれるんだから。



もしかしたら俺は、その時雫を初めてちゃんと見たのかもしれない。



ミルクティー色したさらさらの髪も。

白い柔らかい肌も。

大きくてクリッとした瞳も。



雫って、こんなに可愛かったんだ。



「……負けたよ」



本当に負けた。

雫の勝ちだよ。


声にならない声で泣き、大粒の涙を落とした雫を可愛いって思ったんだ。