学校へ着くなり、雑誌を持った菜摘が大きな声を出して走って来る。



「雫ー! どれにする?」



一体、何冊買ってるんだろう?

学校へ行くと必ずといっていいくらい雑誌があるんだから。



そんな菜摘が、あたしに向けて開けたページを見て、



「おっいしそー♪」



そう素直に言ってしまうくらい食べたくなる写真が一面に載ってある。


トリュフに、生チョコに、可愛くデコレーションされたチョコレート。



「誰が雫の意見を聞いてるのよ」



へ?

あたしの目の前にあった雑誌を下ろし、睨みながら



「圭矢君のに決まってるでしょー」

「……圭矢?」



どうして圭矢なんだろう?

菜摘の言った言葉を理解出来ずに、キョトンとする。