その様子をリビングで見るお母さんが、



「こんなで結婚出来るのかしらね?」



呟くのが聞こえる。



その姿をチラッと睨み

『いってきます』

少し低い声で言って走って飛び出した。



あたし、上原 雫(ウエハラ シズク)。

高校1年生。



1週間に2〜3度は、こんな慌てた朝を迎えています。



7時57分発、快速電車。

起きてから17分で、この電車に間に合うのには、自分でも尊敬してしまう。


駅へと流れるように入って行く人達の波に紛れる。

今日は、ヤケに風が強くて嫌になっちゃう。



風で右へと流れた髪を手櫛で整えた時、ホームに入って来た電車を見て、また憂鬱になった。



中は“満員”その言葉がピッタリなくらいに人人人。


扉が開いたら降りる人を待たずに乗り込むオジサンを睨みながらも、順番を待った。