【完】DROP(ドロップ)




「どうしたの? 陸らしくないわね」



さっきまで冷たく言ってたくせに、急に昔の奈央を見せる。


そう、奈央は冷めてはいるけど人一倍優しいんだ。



「俺ね、ココにずっと通ってるんだ。だけどさ、昔の仲間は誰一人として来なくてさ」



時折、うん。と相槌を打つ以外に何も言わない。



「なーんか、寂しいわけよ。
俺が友達だって思ってた奴からすれば、俺は“芸能人RIKU”って線引かれたみたいでさ」



モデルから芸能人としての活動を本格的に始めてから、ずっと思ってた事だった。



いくら馬鹿な俺でも、それくらいの事は考えるんだよね。


局の廊下で会っても、無視する奴だっている。

俺の悪口を影で言ってる奴だっている。

嘘の情報を流す奴だっている。



友達だって信じてたのに。



「陸が売れたから仕方ないんじゃないの?」

「うっわー。奈央ちゃん相変わらず冷たいね」

「私は、いつもこうよ。だけど、陸の気持ち、少しはわかる……かな」



昔と変わらない口調で、昔と変わらない顔。


哀しい笑みを零した奈央は、

『芸能界って道を選んだんだから仕方ないのよ。
芸能人になんて簡単になれるもんじゃないんだから』

と、何かを思い出す様に話した。



「えー。俺、芸能人になったの超簡単だったよ?」

「……貴方だけよ、貴方が特別なの!」



俺を見て大きな溜息を吐かれた上に怒られた。