「おっはよー」



朝、いつもの様に教室へと入ったあたしは、雑誌を読む菜摘の肩を叩いた。


あの痴漢事件以来、ずっと圭矢君に会えてて毎朝気分は絶好調♪


そんな、あたしの方へと振り返った菜摘は、



「ちょっと、雫。この男の子かっこよくない?」



雑誌に載っている一人の男の子を指差した。



「んー? あ、かっこいいね」



圭矢君には負けるけど。

付け足したかった言葉は言わないけどね。


雑誌に載るだけあって顔はいい。



「何? 菜摘のタイプなのー?」



キラキラ輝く目で見る菜摘に言うと、



「うんっ! 陸って去年の人気投票で1位になったんだよ」



と、また雑誌を両手で持ち眺め出した。


陸とは、菜摘が指差したモデルの男の子の事らしい。