【完】DROP(ドロップ)




「奈央もココ来てたんだっ」



ドカッとソファに座った俺は、上擦った声を出した。


昔みたいに、またココで会うなんて、やっぱ嬉しいじゃん。


振り返り一瞬驚いた顔を見せた奈央は、すぐ目線を落とした。



「奈央って呼び捨てにしないでって言ったよね?」



そうだった。

完璧に忘れてた俺は、苦笑いを零しながら



「奈央……ちゃんも来てたんだ?」



と言い直した。


何故か奈央は呼び捨てにすると怒る。

俺の事は、陸って呼ぶくせによー。

てーか、圭矢も奈央って呼んでんじゃん。


心の中で思うも口には出せない。


奈央は、圭矢にどこと無く似てるから、言い返したところで話が出来る相手ではない。


冷たい視線を向けられ無視されんのがオチだ。


そう考えれば圭矢の方がまだマシかも。

圭矢なら、たまには言い返してくれるもんなー。



「明日オフなのー?」



黙ったままの奈央との間が持たなくて、立ち上がりガラス窓から下を見下ろしながら聞いた。