【完】DROP(ドロップ)




「あっれ? 陸が土曜に来るなんて珍しいなぁ」



クラブの裏口から入ると、そこに居た秋人。


いつも入る時は、人目につかないように裏口から入る。

そして、そのままVIPルームへと進むんだ。



これは、友達がオーナーしてるからこその裏ワザ。

ファンの子にバレずに遊べる唯一の楽しみ方だ。



それでも、中へ入るまでに誰かに見つかる可能性もあるからDROPを結成して以来、平日にしか来なかった。


だけど、今日は久々のオフ。

いつもなら仲良くなった女の子とデートでもするんだけど。



何か気分がのらなくて、気付けばココへ足が向かっていたんだ。



「んー。今日は一人飲みたいんだよねー」



そう言った俺に、少し困った顔をした秋人は、



「あー、悪い。先約がいるんだわ」



そう申し訳なさそうに謝った。



先約?
あそこは、俺しか使わねーだろ。



「誰かいんの?」

「奈央が来てんだよ」

「え? 奈央が!? 何で?」



驚いた俺に、知らなかったのか? と言わんばかりに不思議そうな顔をした。