【完】DROP(ドロップ)




俺は情けない。

雫が幸せになれる人を選んだなら仕方がない。

そうは思えないんだ。



掴んだ腕を胸へと引き寄せる。

もう片方の手で、肩を抱く。


そして、その男を睨んだんだ。


俺の顔を見る男の目が変わって



「KEI!?」



眉間に皺を寄せて呟いた。


腕の中の雫が必死に言うのも右から左へと通り過ぎる。



「ちっ、違うの、そっ、そっくりだけどね…」

「だから、何?」



必死にバレない様にって誤魔化そうとしてくれたんだよね。



でも、ごめん。

今は無理だよ。


ニッと笑いながら



「あぁ……何となく全部わかった。言えなかった理由ってそれか」



と、雫へと目線を落とした。


その言葉に雫が俯く。