【完】DROP(ドロップ)




――ピンポーン♪



え。
もう来たの?


チャイムの音を聞いて時計を見上げた。



“すぐ行く”

とは言ったけど、早過ぎるよ。



また無茶な運転したんじゃないかな。

嬉しさと、少しの怒りを抑えつつも玄関のドアを開けた。



「信号無視とかしてない……って、奈央?」



開いたドアの先に居たのは、雫じゃなくて奈央だった。



「え? 誰か来る予定だった?」

「あぁ、ううん。どうしたの? 陸なら部屋だよ」



取り合えず、奈央を部屋に入れて話す。



「そうなのよ。昨日電話があって来いって言ったくせにチェーンして寝てるみたい」

「は?」

「電話して起こすから、ちょっとの間だけここに居させてもらっていいかな」

「……いいよ」



本当なら、断りたいところだけど。

これ以上、噂がたつのも困るから。



仕方ないよね。