「俺、戻ります!」
「え? 戻るの?」
「はい、戻ります」
力強く言った俺の言葉に、陸が
「圭矢が戻るんなら、俺も戻るわー」
と言ってくれた。
その言葉で、皆が戻る事になったんだ。
――会える
ただ、それが嬉しくて。
――会いたい
ただ、それだけだったんだ。
東京へと戻ると曇り空で、今にも雨が降りそうだった。
雫は原付で来るから、雨は降らないで欲しいよ。
空を見上げながら、携帯のボタンを押した。
昨日、雫からのメールは結局一通もこなくて。
遅くまでかかってしまった撮影のせいで、帰って来たのは朝方だった。
それから寝ずに、朝が明けるのを待っていたんだ。
呼び出し音が鳴るのを聞いて、大きく深呼吸した。
寝ずに考えた雫を呼び出す方法。
もし、あの男と何かあったとしても俺のところへ来てくれる方法を。

