「あ、雫?」

《……う、うんっ》



だけど、そんな気持ちは一瞬で消えてしまって。

電話の声だけで、雫がいつもと違うのがわかってしまう。



「……何かあった?」

《ううんっ》



素直に言ってって俺、言ったよね?

何で隠そうとするの?



「……嘘。何かあったでしょ?」

《ない、よ》



途切れる声は、電波のせい?



それとも……。



あ、もしかして奈央の事かな。

それで、そんな声なの?



それなら……。



「あー、テレビのは嘘だからね?」

《うんっ》



急に明るくなった声にホッとしたんだ。