それを、受け止めてくれた圭矢の腕が温かい。



「あれ？　雫ちゃんどうしたの？」



陸さんの声に気付き、我に返ったあたしは、圭矢から離れようとしたんだ。

だけど、大きな優しい腕はそれを許してくれなくて。

このままでいい。そんな風にギュッと強く強く抱きしめてくれた。





今まで我慢した分の涙が出てしまったんじゃないかって位に泣いた後、陸さん達の姿はなかった。



冷静になって考えれば、すごーく恥ずかしい事をしてない？

いくら、陸さん達の前だからっていっても。

人前で抱きついて、泣いて。


考えれば考えるほど恥ずかしくて、圭矢の腕から離れようとしたあたしを見下ろし



「あ。もう泣かないの？」



って少し嬉しそうに話す。



「う……。もっ、もう泣かないよっ」



真っ赤なあたし見て、クスクスと笑いながら



「残念」



だなんて、どういう意味なんだろう。



泣かれたら、ウザイとか。

早く泣き止んで欲しいって思うものじゃないのかなぁ。