「あ、雫。おっはよー!」

「菜摘、おはよー」



原付を止めて、メットインにメットを入れながら、交わす言葉は何も変わらなくて。



「何ー、朝から元気じゃん。遅番だからたっぷり寝れたー?」

「うん、たっぷり寝たよ」



寝れてもいないのに、寝れたと“また”嘘をつく。



「いいなぁ。私なんて5日連続早番でヤバイよー」



泣きまねをする菜摘の頭を軽く小突き、



「何言ってんのよ、松本君と一緒がいいからって、あたしに早番と遅番変わってって言ったくせに」



茶化す様に笑ってみたり出来る。



「まぁ、そうなんだけどねぇ。流石に眠いわ」



それでも菜摘は幸せそうな顔をしてる。

腕時計に目をやり、



「あ、ごめんごめん。早くタイムカード押しておいでよ、遅刻しちゃうよ」



そう言って、自分の持ち場へと戻ってしまった。


あたしも素早く用意をして仕事へと取り掛かった。



何も変わらない。



周りも、ココも……“あたしも”いつもと同じ。