「はい、これ制服ね。本当に助かったわ。
今年、暑いからかすぐ辞めちゃう子ばっかりでね〜」

「……はぁ」

「頑張ってね!」



お母さんくらいのおばさんに、背中を叩かれた瞬間、置かれた状況を軽く後悔した。



夏限定の野外ライブ、
新曲のレコーディング。


忙しい圭矢は東京から離れてしまっていて、会えない。



今までだって、何度もあったことだけど、あたしが長期休みの時に重なるのは初めてで。

圭矢の為に空けていた時間は、全く無意味なものとなってしまったんだ。



だから、菜摘に誘われて、バイトする事にしたんだけど。



夏休み限定で、時給もいいし。

業務は、主に棚卸とレジ。


簡単だと思って初めて、今日で5日目。



初日から感じた体力の限界は、筋肉痛となって、あたしの体から悲鳴をあげていた。



菜摘は、好きな人がバイトしてるからって応募したらしいけどね。
流石、行動派。