「だから、この人だって」
「この人?」
「へ? 今テレビ観てたんだよね?」
言ってる事が理解出来ない様子の圭矢に確認した、あたし。
「テレビ……あぁ、テレビ」
「考え事でもしてたの?」
テッキリ圭矢がテレビを観てるんだと思って邪魔しなかったのに、観てなかったんだ。
あたしの質問も聞こえないくらいなんだから、仕事の事でも考えてたのかなぁ?
あたし、邪魔かな。
「あー、うん。ちょっと」
「仕事の事?」
「……そんなわけでも、ないんだけど」
言葉を濁した。
やっぱり大切な事でも考えてたんだ。
「あたし、やっぱり帰ろっかな。せっかくのオフなのに、こんな朝早くから来ちゃってごめんね」

