「でも、テレビで喋らないところとかは素だよね、圭矢君」
なんて笑いながら言う。
あたしは、相槌をうった。
「だけどさー。歌ってる時とか、人が変わるっていうかー、すっごいかっこいいよねー!」
雑誌をギュッと握り締め、あたしに満面の笑みを向ける。
『そうだね』
口角を無理矢理上げて、あたしは答えた。
そう、圭矢の人気のひとつ。
テレビとかでは、全くと言っていいほど喋らないのに。
歌になると人が変わったみたいに、かっこよくなる。
音楽番組なんかを観ていると、そんな姿にドキドキとしてしまう。
ただのファンのあたしがいるんだ。

