「じゃぁ…私行くね!ココにある私の荷物は捨ててもいいから…。」

と、言って出ようとし私…

「後…これも返すね!」

と、薬指にはめていた指輪を外し、健太に渡した!

「今までいろいろと、ありがとう…。今度は幸せになれよ!!」

そう言って笑った!

最後くらいカッコよく…

と、思ってたのに…

こらえていた涙が一気に溢れだした!


「じゃぁね…!」

健太には泣き顔を見せたくない…

そう思い…背中を向けたまま別れを言う私!!

最後の最後まで“意地”を張るね…。

素直に“別れたくない”と…言えない私!!

もっと素直に、自分をさらけ出せたら…

健太は私を好きでいてくれたかも知れないのに…

今さら…遅い…!


「ちょっと待てよ…!」

健太が腕をつかんだ。

“!!”

腕をつかまれ振り返ってしまった!

そして、溢れ落ちる涙を健太に見られた…。

「……!」

言葉に詰まる健太!!

見られた…!

頭の中は、見られた事でいっぱいに…。

「……。」

早く出ないと…!

そう思い、慌てて部屋を出た。

部屋を出る際に、健太の“梓”と呼ぶ声が…。

別れるなら、名前を呼ばないで…