これが俺たちの過去だ。
俺はもう黒龍になることはないと思っていたけれど。
甘かったな……
恐らく姉ちゃんは、
『産まれてこなければ』
『惨めだ』
という言葉を聞いて再発してしまったんだろう。
頼む……
その力を封じ込めてくれ……!
「へぇ、やっと黒龍のお出ましか。お前ら殺れ」
すると蛇玖竜のやつらは姉ちゃんに殴りかかる。
バキッ
ボコッ
姉ちゃんは1発1発を確実に決めていき、相手を気絶させる。
もう何年も黒龍になってないのに、力は前以上だ。
拳も、ひとつひとつ重みが違う……
それを見て怯んだのか、俺を押さえていた男が少し力が弱くなった。
その隙を見て俺は、そいつらから逃げ出した。
「待て!佑樹!」
総長が俺を呼ぶ。
そして俺の肩をつかみ殴りかかろうとした。
ヤベー
殺られる!
パシッ
あれ?痛みがない……
そう思ったら、総長の拳を姉ちゃんが受け止めていた。
「……お前」
総長が怯む。
「佑樹には手を出すな」
姉ちゃん……
俺のことを認識できるのか?
いや違う。
無意識なんだ。
無意識に俺を守ろうとしているんだ。