「病院だよ。姉ちゃんトラックに跳ねられたんだよ」




「トラックに……跳ねられた……?」









様子がおかしい……




「覚えてないの?」




「……うん」




どうやら事故のせいで記憶がなくなってしまったらしい。




しかも全て黒龍に関することだけ。




余程嫌な出来事だったのだろうと幼いながらにも悟った。




それからは、姉ちゃんも順調に回復し退院した。




けれど、黒龍の記憶は戻ることはなかった。




俺は不安より安堵のほうが大きかった。