「夏蓮さん……」




「夏蓮でいいですよ」




「じゃあ、俺のことも励也って呼んで。あと、敬語もなしね」




気持ちの整理がついたあと、励也が話したい事があるらしくて……




「実は、佑樹くんを返してほしいなら夏蓮を連れてこいって言われたんだ」




私を?




一体何のために……




「本当は連れていきたくないんだけど……」




励也が気難しい顔で言う




「それがあっちの条件なら私は行くよ。それで佑樹を取り戻せるなら」




「そう言うと思ったよ。でも、危険だと少しでも思ったらすぐに逃げること。それがこちら側の条件だ」




励也にきつく言われた。




「うん」




私もつい肩の力が入ってしまう。




「安心して。もしもの時があったら俺が意地でも守る」




そう言って私の手を握る。




「……ありがとう」