どういうことだ?




励也はそう思った。




ここで励也にとってもっと計算外の事がおこる。





「こいつらがどうなってもいい訳か?」




そこにはぐったりとした夏蓮と澪、楓がいた。





「夏蓮さん!澪さん!楓!」





「……れい…や……さん…」




と夏蓮が呟く。




どうやら意識はある。




「こいつらを返して欲しければ今日のところは引き上げるんだな。俺たちも今日は戦う気はない。取引があるんでな」




「……」




何も言うことが見つからない。




「そうだ。佑樹の事を返して欲しければ来週もう一度ここにこい。その姉貴を連れてな」




そう言って、ぐったりしている夏蓮、澪、楓をその場に置いた。




一也がいち早く駆け寄る。




遅れて励也、翔。




「大丈夫か!?」




一也はそう叫ぶ。




すると楓が目を開いて……




「……ごめん、一也……足手まといになって……」




「何言ってんだよ!謝るのはこっちだ」




ごめん……と繰り返す一也。




それをただ見つめることしかできなかった、励也と翔。




そして励也たちは何の習得もなく自分達のアジトに戻ることになった。




いや、スパイがいたということだけを知って……