「テニスコートの近くですよ!」という笠松さんの声を背中で捉えて、私はだるそうに教室を出た。

廊下を曲がって、教室が見えなくなってから歩くスピードを速める。

なんだかんだ言ったって、心がざわめくのを抑え切れない。

『名門私立女子高校教師、暴行罪で逮捕』なんてことになったら、洒落で済まないわ!!


段々と歩くスピードが増して、コートを目が捉えた時には駆け足になっていた。



なのに―……



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