「カエ!勝手に行っちゃダメだろ!パパが風船を取ってる間、ここで待ってるようにってあれだけ言ったのに。」 そういい、安心した様な表情をして女の子を抱きしめる。 そこはすっかり二人の世界で、私はこっそりその場を去ろうと振り返ったその時、 「待って下さい!」 と、後ろから声をかけられた。 「あの、ありがとうございました。」 その人は桜の花びらまみれの頭を深く下げて、もう一度こちらを見て笑った。