それから5日間鉄牛車にゆられふ日々だっ

た。街についたのか牛車を操っていた男が皆

を下ろした。共に乗ってきたのは皆この街に

売られた人々だ。鎖に繋がれ一列に並び歩き

出す。

ジャラジャラジャラジャラ…

子供の頃に聞いたことのある嫌な音。

心を闇に賭すような鋼を引きずる音。

私は奴隷という形で人間商品になったのだ

と実感してならなかった。

「待て!!ガキー!!」

「パンを返せー!!」

どこからか聞こえてくる怒鳴り声とパタパ

タととても早い足音。あぁ盗みか。

理解するのにさほど時間はかからなかった。

そちらに目を向けると走ってくる少年と

その少年を追いかけ醜い巨体を揺らす大人

を二人認めた。がどうでもよかった俯いて流

れる涙に抵抗はしなかった。

足音が一層大きくなるとハタとその足音が

止まったが興味は湧かなかった。

『あぁ…神様がいらっしゃるならばなぜ私

たちだけ愛してはくださらないのでしょ

か…? 』