「お母様､準備が出来ました!!」

「では､いきますよ｡」

母と出かけるのなどいつぶりだろうと心躍

るのをなんとか抑え父に行ってきますと声

をかけた｡いつものようにあぁと返事をする

父だがどことなく寂しそうな悲しそうな…

とても申し訳なさそうななんとも言えない

表情だった｡

どうかしたのだろうか…父のその表情が気

になったが母に急かされ聞くことは出来な

かった｡

街につくとまず母と食事をした｡私の好きな

蜂蜜とイチゴのパンケーキを食べさせてく

れた｡いつもならこんな高いもの誕生日じゃ

ないと食べさせてやくれないのに｡

それから映画館や劇場に行きそれはもぅ今

までしたこともないような贅沢なひととき

を母と2人で過ごした｡

「お母様?今日はどうしてこんなに贅沢なの

です?いつもこのような贅沢はお叱りになら

れるのに…」

「そうかねぇ…｡

母さんも何もお前に不自由をさせたかった

わけじゃないんだよ｡

ただ謙虚な気持ちを忘れないでおくれ｡と

思ったんだよ｡ね エラそれを忘れないおく

れ?母さんとの約束｡」

「わかっています｡お母様｡

自分の立場が他の色々な方々のおかげであ

ること｡またそういった人々はもしかすれば

ひどい目にあっているかもしれないという

こと｡わたしがここにいれるという事を忘れ

てはいけない｡

お父様もお母様も私が小さい頃から仰って

いらしたではありませんか｡

私はちゃんとおふたりとの約束を守れま

す｡」

エラの言葉に心が痛み泣きそうになるのを

こらえ笑った｡

『エラ､どうか父と母を許しておくれ…』

心からそういうしかなかった…｡