それから1週間後

同じパン屋を襲い今度は6つのパンを奪った

レイは大通りを駆け抜けていた｡

ジャラジャラジャラジャラ…

不愉快な音だ昔聞いたような心を闇に賭す

ような鋼を引きずる音…

破れた粗末な布に身を包み鎖に繋がれ歩く

1列の長い行列｡

奴隷だ｡

それに気づいたレイは見ないようにと目を

そらそうとした瞬間その足を止めた｡

その行列の中の真ん中からやや後ろの方を

やはり鎖に繋がれている1人の少女｡俯き絶

望したかのように瞳を伝うその涙がみえる

きっとどこか遠い街から売られてきたのだ

ろう…｡

レイは初めてこの世で空以外のものを

「美しい」

と思った｡その少女の行先を知りたいと思い

パンを隠して後をつけた｡

しばらく歩いた後､レイの住む街で最も裕福

な豪邸の前で少女は引き渡された｡

ここがこれから彼女が奴隷として扱われる

場所｡

アクライル邸だ｡

少女がその屋敷の中に見を暗めていくのを

見届けレイは言い知れぬ怒りに苛まれ来た

道を叫びながら全力で走った｡

パンを隠した場所につき､少し落ち着いて

レイなりのワガママを実行しようと考えた｡

『俺たちを愛してくれない神だって

これくらいならば許してくれるだろう…』

レイは日が沈み暗くなるのを待つことにし

た｡すぐに寝床に帰り子供たちにパンを与え

レイもしっかりと腹を満たし仮眠をとるこ

とにした｡

子供たちに暗くなったら起こすようにと伝

え｡