だから、私は言ってしまった。


彼が同期会で女性に囲まれて嬉しそうにしてたのが気に入らなかったからなのか、なんでこんなにも柴崎くんのことが気になるのか、全部のもやもやをぶつけてしまった。



「な・・・なんで柴崎くんはそんなに細いのよ!
柴崎くんのせいで私のちっぽけなプライドはズタズタだよ・・・。

職場のかわいい女性より太くってもなんとか自分を許せてたのに
男の柴崎くんよりも太いとか、いやになってくる。
柴崎くんといると、自分に甘くてダイエットも成功しなかったダメ人間っぷりを思い知らされるの!

もっと太ってよ、柴崎くん・・・。」

普段なら、こんなこと絶対言わないのに。

彼に私がこんなに意見を言ったことなんて、今までなかった。

きっとこれはお酒のせい、だから八つ当たり以外のなんでもないってことも分かっている。

でもこの昂った感情の抑え方がわからなくて、しゃべりだしたら止まらなかった。

彼がどんな顔をしてるのか見る勇気もなくて、彼の足元をを見ながら捲したてるようにしゃべり続けた。


私が口を閉じたら、流れるのは沈黙であまりの恥ずかしさで逃げ出したくなった。

ううん、実際に私は右足を大きく前に出して、彼を置いて帰ろうとした。

それなのに・・・私の体が前に進むことは無かった。

なぜなら、柴崎くんが私の右の手首を掴んでいたから。


思いもよらない彼の行動で振り返って彼のことを見た私の顔はきっとすごいマヌケだった思う。