彼は私の目を見つめながらも言いにくそうに口ごもっている。

「あー・・・、本当に言わなきゃダメか?

でも俺のせいで藤本に嫌な思いさせたんだもんな・・・。

分かった、言うよ。何であんなことしたのか。

でも、1回しか言わないからな。」

彼はとても言いにくそうにしながらも、やっという気になったようだった。

随分ともったいぶられたけど、私はやっと理由がわかると、彼の言葉をドキドキしながら、待っていた。

柴崎くんを見上げながら、説明を待っていた私の耳に届いたのは・・・


「藤元が・・・花奈が可愛すぎたんだよっ。」
という甘すぎる言葉だった。

思ってもいなかった答えに驚いた私は何も言えずに固まってしまった。

そんな私の態度をどう受け止めたのか、彼は先程までの言いづらそうな姿が幻かと思わせるほどに饒舌にしゃべり始めた。


「最初は大好きなオムライス、美味しそうに食べてる姿が可愛いな と思って見てたら、口元にはケチャップが付いてて・・・。

普通に口元に付いてるって、教えてあげれば良かったんだよな。

それは分かってたつもりなんだけど、、
幸せそうに食べてる姿が可愛すぎて、気づけば手が伸びてたんだ。」

彼から伝えられる予想してなかったような甘い言葉の数々に私の脳内はオーバーヒートを起こしそうだった。

ましてや、ここは会社の廊下なわけで、周囲に人がいないと分かっていても自然とドキドキが増してしまう。

彼の話を聞き終わった時には恥ずかしくて顔をあげることが出来なくて・・・

というか、私はそんなに幸せそうにオムライスを食べてたんだ。

どちらかと言えば、柴崎くんが隣にいたから、普段よりはムッとしてた気がするんだけど・・・

オーバーヒートを起こしかけている脳内は変なところで冷静で食堂での様子を最初から、思い出そうとしていた。