鬼神となりて

 「事情はわからないけど。とりあえず、怪我無くて良かった。
じゃあ…」

「ちょっとちょっと!待ってよ!」

春翠が背を向け歩き出すと、咄嗟に着物の裾をひっぱりとめた。

「どうしたの?」

「もうちょっとさぁ、心配するとかしないの?明らかに訳ありの女の子じゃない!」

(そんな理不尽な事、初めて言われた)

春翠は戸惑いながら何と言おうかと視線を泳がせる。

「あんた、見たところ剣客みたいね。
なにしてるの?」

「俺は、まぁ色々あって旅してるんだよ」

そう言うと目を見開いた。

「旅してるの?じゃあ私も連れてって!」

「へ?」

マヌケな声を出して次は春翠が目を見開いた。

「私の名前は笹森 雪乃(ささもり ゆきの)!
あんたは?」

「翁雅 春翠」

「春翠ね!わかった。
これからよろしく!」

そう言って手を差し出してきた雪乃。

完全に着いてくる気である。

迷っていると、謎の威圧感が出てきたので仕方なく手を握り返し了承した。