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初対面の相手、しかも理事長の甥だと名乗っている人間に対しいきなり嘘つき呼ばわりとは救い様のない馬鹿、いえ、ゴミですね。

着崩した制服。
明らかに染めている髪
赤のカラコン
多すぎるピアス
そしてかすかに臭う煙草
この学校にも校則というのは存在してるのですが、彼は知っているのでしょうか。

この男は舞竜ですね。
うしろでニヤけている三人も

これでクスリやレイプをやってないって嘘でしょう。

「ハァ、僕は本当に紅に所属していますよ。」

「こんなヒョロッちいのにどうやってケンカするんだ!アァア゙゙!!?」

彼がそう言った瞬間、所々で嘲笑う声が聞こえる。嘲笑っているのは舞竜ですか。


「これだから頭の悪い方々は....」


僕がため息混じりに発した言葉は決して大きくなかったのに教室に響いた

「ハ? てめぇ、今なんつった?」

「日本語が理解出来なかったんですか?ならハッキリ言いましょう、頭が悪いと言ったんです。言葉の真意がハッキリしてない内の侮辱に相手の強さを体格で決めつける愚鈍さ。おまけに僕は理事長の甥ですよ?退学になってもおかしくない。ここまで自分の馬鹿さを隠しもしないなんて僕には恥ずかしくて真似できませんよ。」

「てめぇ、いい気になりやがってっ!!」

キレて殴りかかってくる男
男は身長180位でガッシリとした体格
対する僕は身長170前後で華奢な体つき
ここにいる誰もが僕が殴られると思ったでしょう。
ですが、そんな男の拳を余裕で止めたら周りはどう思うでしょう。

「な、何で....」

「これでも紅の末席におりますので、このくらいの事は出来て当然です。」

笑顔で拳を止めた手に力を込めると、叫びだす男。

「ア゙゙ァ゙ア゙ア゙ア゙アアァ゙アアァ゙アア゙ア゙アアァ゙゙」

青ざめる舞竜
驚く鳳凰


そしてそれを冷めた目で見る真藤

僕はこれを確かめたかった。
生まれは異常でも育ちは普通の真藤がどうして虐められてないか

やっとわかりました。
周りは真藤のこの冷めた目に怯えた。
他人がどうなろうと関係無いという極道特有のこの目に。