凪咲が話を始めた。

「あれは、遊くんが来る前のことだよ。」

それを聞いた瞬間固まる。

遊は7歳の時来た。それよりも前のこと…

聞くのが今になって少し怖い気さえしてきた。

でも話を聞く他ないんだと自分に言い聞かせた。

「凪咲、はなしてくれ。」

「分かった。あれはそうだ、有里が5歳の時に新也って男の子が入ってきたの。その子はとっても優しかった。有里もすぐに仲良くなって笑顔が耐えなかった。けど、有里の誕生日の次の日に新也くんは事故で亡くなったの。それから有里は、毎年……」

そんな深い過去を持っていたなんて…

話を聞いて、遊の頬に1粒の暖かいものが滑り落ちた。

「遊くん…泣かないで」

そう言いながらも凪咲まで泣き始めた。

人が聞いてても涙を流すのに有里は、どんな気持ちで乗り越えたのだろう…。