僕たちが付き合って6ヶ月がたち、高校二年生になった。僕は彼女と休みの日に遊園地に行ったり、映画を見たり、ショッピングをしたりしてとても楽しい日々が続いていた。
 しかし、ある日のこと、僕は昼休みに屋上で御飯を食べながら下を見ていたら彼女がいた。誰かと約束をしているようだった。
そして、十五分くらいたってうちのクラスの田中本織が現れた。ちなみに彼は、うちのクラスで成績トップで運動も万能である。まぁ、世間でいう完璧人間ってやつであろう。田中と彼女の会話は周りが騒がしくて聞こえにくかったが、なんとなく聞き取れた。その内容は驚くべきものだった。
 まず田中が、
「なんだい?」
と言った。そしたら彼女が、あの時僕に告白してきたのと同じように笑顔で、
「大好き。」
と言った。僕は驚いて、声がでそうだった。
「どういうことだい?」
「そのままの意味よ。」
そして彼女は田中の耳元で何かを囁いていた。田中は驚いた表情をしていた。
 
 次の日。僕は昨日あったことは自分の幻覚もしくは、なかったことにしようとしていた。 
 ー昼休みー僕は昨日あったことを確かめようと、ご飯を食べながら下を見ていた。今日は大丈夫、誰も来ないだろうと思ったその時、彼女が現れた。昨日と同じように誰かを待っているようだった。
 20分くらいたった頃、うちのクラスの藤山尚史が現れた。彼は、運動神経抜群でうちのクラスで運動は一番と言われている。しかし、勉強は大の苦手らしい。藤山と彼女はこう話していた。まず、藤山が
「どうしたの?佐々倉さん。」
そしたら彼女は昨日と同じように笑顔で
「大好き。」
と言った。藤山は困惑の顔で、
「え~と、いきなり何をいっているんだ?」
そしたら、彼女は笑って
「そのままの意味よ。藤山君が大好きよ。」
「君となら付き合ってもいいのだか…」
藤山は困っているような嬉しいような顔をしていた。彼女は喜んで驚くべき行動をとった。彼女は、
「ありがとう。」
と言って、藤山にキスをした。
 それから、彼女は毎日のようにお昼休みに同じ事を繰り返していた。
 
 僕はさすがに理解ができず、それから一週間後の放課後、彼女に話しかけた。
「望」
「何?亮」
当たり前のように振り向いてくる彼女を見て、あんなことしてる彼女が嘘のようだった。
「望、何で君はお昼休み男子に"大好き"って言うのか?」
「何でって好きだからよ。」
彼女は笑って答えた。僕はその答えに驚いた。
「僕と望は付き合っているんだよね?何でそんなことをする?」
僕は正直腹が立っていた。
「ええ。付き合ってるよ。でもみんな大好きだからよ。私があなただけに夢中になれると思う?」
それを聞いて、僕は思い付いた。
「ならば、僕がもっと望が僕に夢中になれるように努力すればいいのだな。」
「そうねぇ。これからもよろしく。亮君、大好き。」
 彼女は微笑みながら、そう言った。
 
ーこの日を境に僕は"嘘つき"で美しすぎる彼女をどんどん好きになっていった。ー