ひだまりのようなその形に幸福論と名前をつけたなら

「……ねぇ、」


いつまで一緒にいられる?
そう問おうとして、すんでのところで留めた。
この問いは、いつかの日にもしたことがあった。
返ってくる答えは分かっているしきっと変わらないし、自分で考えてみてもその答え意外見つからなかった。


「…何でもない」

「そう?」

「うん。何でもないよ!」


心配そうに顔を覗き込んでくる誘拐犯さんを困らせてしまうわけにはいかなかった。


「ねぇねぇ、その本面白いー?」

「面白いよ」

「じゃあ今度貸して」

「君にはちょっと難しいかもなー」

「え、馬鹿にしてるの?」


何よりも、今この時間が愛しい。
だから壊したくなかった。