ネバーギブアップ


翌日の夕方、ケータイに電話がかかってきた。楓太だった。

俺はすぐに電話に出た。

球次「もしもし…楓太?」

楓太「球次…ごめん。」

楓太は枯れた声で言った。

球次「いきなりどうしたんだ?」

楓太「決勝で負けちまった。あと…少しだったんだ。」

球次「そっか、負けたのか。」

球次(まぁ慰めるだけヤボだな。)

球次「何くよくよしてんだ!これで終わりみたいに言ってんじゃねーよ!!」

楓太「球次…」

球次「高校最後の大会だからなんだ。まだまだこれからじゃねーか。俺なら泣く暇あったら練習するよ!」

楓太「そう…だよな。ありがとう、球次も早く戻って来いよ!じゃあな。」

球次「ああ、分かってるよ。」


その日の夜、奏が病室に顔を出してくれた。

奏「球次あのね…」

球次「聞いたよ。楓太負けたんだって?」

奏「知ってたんだ…」

球次「楓太から電話で聞いた。」

奏「そっかじゃあこれは要らないね。」

球次「何それ?」

奏「決勝戦のビデオだよ。」

球次「見る!」

奏「え、でも…」

球次「見るったら見るの!あいつには強くなってもらわないと…」

奏「分かったよ。一緒に見よ。」

それから奏と俺は楓太の試合を見て。ここがダメとかここは良いとか2時間くらい話していた。

課題さほど多くはなかった。ノートにまとめてこれからの練習の参考するように伝えた。

球次「よろしく頼むよ。」

奏「分かってるよ。心配も程々にね。」

そう言って奏は病室を出て行った。

俺は食事を済ませるとすぐに寝てしまった。


翌朝、体調が良かったのでリハビリをいつもより長めにやった。


病室に戻ると母と医者が待っていた。

医者「球次君、体力も回復したようだし明日検査をして大丈夫そうなら退院できるよ。」

俺はこの時、今の自分では言い表せないような幸せに包まれていた。

医者と母が病室を出て行った後も俺は一人でドキドキしていた。

昼、奏にメールを送った。

『明日検査を受ける事になった。その検査でオッケーが出れば退院できるよ!』

すぐに奏から返信があった。

『やったじゃん!!退院したらまた一緒に学校行けるよね?』

俺はすぐに返信した。

『当たり前だろ?毎日一緒に学校行けるよ。』

少したってから返信があった。

『もう、なんで今送ってくるかな。涙が出てきて午後の授業受けれなくなるじゃん。』

『ごめん、でも一番に奏に教えたかったから。』

『ありがとう。もう授業行くね。』

『行ってらっしゃい。』

俺はケータイを閉じて目を瞑った。

長かった闘病生活も終わるのかと思うと何故だが寂しさを感じた。

球次(明日で決まるんだな…。)

退院したらどうしようか悩んだ。けどまだ答えは出なかった。

俺はこの日の夜、心のドキドキを残したまま寝た。


To be continued...